きいろいとり

あなたはきいろいとりだった
あなたがいるから
せかいがあった

すべてのいろとかたちは
あなたからうまれ
すべてのうごきは
あなたのつばさのひとうちにはじまった
すべてのよろこびは
あなたのまなざしからあふれ
すべてのかなしみは
あなたのことばから

そしてときのながれ
きょうときのうをつらぬき
すべてのいのりは
あなたへとむかっている

きいろいとり
だけどふしぎだ
あなたはいってしまったのに
せかいにはあいかわらずあしたがくるんだ


（谷川俊太郎「黄色い鳥のいる風景」へのオマージュ）

ラッシュアワー

改札機の絶え間ない羽ばたきが
透き通る空をあたためている
銀色の矢のように電車が到着し
祝福の鐘が鳴り響く

挟まれ、揺さぶられ
先の見えない
それは戦いだけれど
知っている
空が青いこととも別の次元で

感謝を！

こんなにも多くの人が
この朝を歩き出そうとしている

弱くしわくちゃなわたしの夢も
そしてゆっくりと翅をひろげる

にちようの

にちようの夜の電車にほがらかな「さよなら」明日も生きねばならぬ

廃屋のように

詩が書けないままに3か月が過ぎて、広告が表示されてしまいました。

復帰の目処が立ちませんが、そのうち何か書きたくなったら書きます。

たまに、見に来てくださると幸せです。

旧生活

捨てる　捨てる　捨てる
自治体指定のゴミ袋
ゴミになるために生まれた袋を
いっぱいに　いっぱいに

ひとめぼれした雑貨　何度も読んでは泣いた本
一昨年の年賀状の束がシュレッダーにかかる頃
誰かがわたしのアドレスを携帯から消している

捨てる　捨てる
今までのわたしだったもの
新しい暮らしに要らないと
燃えるごみ　燃えるごみ

書き込みだらけの楽譜　古い日付の書類
素敵ねと言われたスカートも子どもっぽいばかり
誰にほめられたかも思い出せない

捨てる　捨てる　捨てる　捨てる
誰かがわたしを手放している
思い出も思いも消えていくように
選りわけて　選りわけて

明け方　集積場のカラスが鳴きました

捨てたもの　捨てなかったものも
まるごとのあなたです