短歌ドリル ―暖かいふり―

1. ゲームではないよあなたの前に立ちあなたを殴る準備はできてる

2. 骨までは届くことない初夏のひざしを襟で受け止めている

3. 最後まで敵でいてよね暖かいふりした午後の陽射しを浴びて

4. けーたいの画面は光 テーブルの上のコーラも過去問集も

5. ゴミ捨て場にくまなく網をかけており新聞配達人が消える日

6. ヒマラヤへ行くべきでした正座した膝のあつみが母を超えた日

7. 青い袖のイイネ！ボタンを押している私と兄は父の「友だち」

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7首。

短歌ドリル ―絶滅短歌―

1. 生きるということの中毒性たかく薄日の先の扉ととびら

2. 隣人の学名につき疑いを抱いてやまぬハルキエリアは

3. 適切な謎を欲しがる五月晴れアノマロカリスすべてみどりに

4. 引力を克服すべき生き物の先鋭としてアルゲンタヴィス

5. クロマニヨン人の子孫のもういない老人ホームの庭で絵を描く

6. 赤白のゴム付き帽子のせていくメソヒップスのなだらかな背に

7. つつかれているしかないねあの映画の鳥がぜんぶリョコウバトなら

8. 専用の竪琴を飼っているようでグリプトドンは夢をみる丘

9. おふろばの換気扇あたりにいつも三葉虫が滲んでしまう

10. 真実は問題じゃない　始祖鳥のエンブレムつきママチャリで行く

11. ニッポンへようこそニホンオオカミもニホンカワウソもいない日本へ

12. おじさんは昔サーベルタイガーに勝った勇士ね　傷味のキス

13. R.I.P.(レストインピース)とツイートされたのはいちばんあとに死んだヤツだけ　*ピンタゾウガメ

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13首。2首め以降はtwitterの題詠遊びで作ったもの。

短歌ドリル ―P波―

1. ヌードルを脳に見立てて啜るとき光るきのこと曲がったとんぼ

2. 夕暮れの雨のにおいの待ち合わせ声より先にP波が届く

3. 表情の見えない痛み 細胞はひとつ喘いで塗りかえられる

4. 閘門式運河のようだ充たされてもっと高くに昇りたくなる

5. "あるがまま"だなんてお伽噺だわ素直に見せる返事の仕方

6. ご自慢の制御装置はばかになり炉心融解（メルトダウン）に救いを見てる

7. 隠された水門は開け放たれてノアの助命を許さぬ怒り

8. 終電で帰るわたしをこの車両みんなが知ってるね 天の川

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8首。エロ！

短歌ドリル ーブルーグレイー

1. 動物的ねむり突き抜けハイウェイはまっすぐに砂色の夜明けへ

2. 空港の窓はときんと冷たくて言うほど赤くないね朝焼け

3. 着陸は小さな落下 来るべきブルーグレイに備え続ける

4. 雲海のさきにも雲はあらわれて窮屈に暮らしていくだけの

5. メール画面で消した文字列そのままに口にしてゆく小さな自由

6. この重くまとわりついているものは生まれたときの水のきれはし

7. 汚いよ言っておくけど嫉妬ではないよただただ遠い悲しい

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7首。少したくさんできてきた！

短歌ドリル ーアフリカー

1. 長財布を持たずに歩く  ガイジンが豊かなことが当然の国　（長財布＝ウォレット）

2. 不似合いな高さの窓に連れ添って世界中どこでも鳩は鳩

3. きみは今なにしてるかな距離だけど時間みたいな秋の下草

4. 荷を少し捨てて帰ろうサボテンを最適とする地球の一部

5. 夜空には無数の四角 点と点を線で繋いでしまう本能

6. 器ごと糾弾してよ熱くないシャワーは寒いだけだよ  もっと

7. 夜のあいだきりんの夢の内側で輝いている太陽  帰るよ


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7首。けっこう頑張って更新！