短歌ドリル ―スポンジ―

（うたの日）
1. 春過ぎてつのを失うわたしからトリケラトプスのための鎮魂（6/27「つの」）

2. どこまでも観客である悲しみの拍手だ！光あれ光あれ（6/28「拍手」）

3. FOREVER21で最高に未来感じるスカート　勝負！（6/29「服」）

4. 火曜日のキスで生まれた鳥はいま南回帰線こえたところよ　（6/30「帰」）

5. スポンジになりたいうずくまる人の痛みを吸って泣くスポンジに

6. LOVE Uをつたえる絵文字がたりなくてパンダの写真ばっかり送る

7. 忘れたくなくて傷つけたくなくてページの角を折った罪びと

8. 音楽は平和のしるしではないし背を向けないで信じないでよ

9. 待ってな、って言う声が好き何度でも腰を浮かせてしまうくらいに

10. ミッキーは敷地にひとりだけどほら宇宙でひとり跳ぶふなっしー

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10首。10はジジネタンカに投稿したものの改作。

短歌ドリル ―サーカス・虹―

【サーカス】
1. サーカスの象が動物園の象を馬鹿にしている個室居酒屋

2. ライオンも象もピエロも団長も折り畳まれて夏のテントへ

3. 長いこと鳥を探していたけれど影の一座と行ってしまった

4. あきらめて家へ帰ろう今回も空飛ぶゾウはいなかったから

5. 三十になるまで空の飛び方を知らないだけのダンボですから

6. すごいねって肩を叩こう あの赤い髪した人はナイフを呑んでた

7. 命綱なしで飛びたいときもある山田サーカス団員2号も

8. その綱をだんだん細くしていっていつか星座の間を渡れ

9. 綾鷹にみたらし団子 道化師がかなしいものと誰が決めたの

【虹】
10. 緑黄色野菜カレーの皿を待つ地下食堂の雑音は虹

11. 原発のある未来ない未来ただ虹を宿した空のしずけさ

12. 今週もねずみ男は殴られる善悪のさかいに虹を見て

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9、12は本日の笹先生選歌欄の歌会に出させて頂きました。
残りはそのボツ歌！

短歌ドリル ―ポテトサラダ―

1. ワンピースを嫌いになってしまいそうもう合コンに行かないからね

2. きらきらでなくていいからクラス一気が合うくらいの人をおねがい

3. ただいまの声を吸い込むこの箱を家と呼んでるひとりで生きれば

4. 苦しいというツイートに口付けて梅雨の晴れ間の青はうつくし

5. 焼肉を二人で食べて手を繋ぎ駅まで歩きじゃあね、と言う

6. 雨雲をついて遥かなささやきがいま浪漫的器官へ届く

7. ポテサラにソースをかけて悪びれぬ人の親指よまきづめになれ

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7首。呪詛。

短歌ドリル ―輝石―

1. 君だけの罪にしないよ歯型ごと林檎をかじる家族のはじめ

2. うまづらの企画部長が美について語るあいだの平安を呑む

3. よく聞いて米つぶを噛む三秒の無言それは愛しての意味

4. 三日後に雨はあがって水無月の輝石のような磨かれた青

5. この駅にもついにホームドアができ落っこちる自由はなくなった

6. 地球儀にフォークを刺せばするするとてっぺんからほどけるモンブラン
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6首。空きすぎた…

短歌ドリル ―蜂蜜アイス―

1. これは月のせい夏至のせい透明な夜があふれてとまらなくなる

2. 遠ざかる季節はずれの拍子木の予定調和な挫折を演ず

3. 重力に捕まっているこれからはパフェのためだけ電車に乗ろう

4. おそろしさに夜を濡らしていたものの乾かぬままの今は水無月

5. 路上には何百の目だ 背を伸ばし手を振っていけという樹の教え

6. 手を振って歩いていけという人のともに歩いてくれない夜道

7. くちなしのあの他愛ない怪談に怯えたわけを誰も知らない

8. 青壁の鍵屋の角を三日月へ向かっていけばそこがうちだよ

9. なんにでも粉をはたいてみるひとのため息入りのゴーヤチャンプルー

10. それなら、と言えないことを知っていて蜂蜜アイスみたいな甘さ

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10首。少し間が空いてしまった。