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生きるように、綴ること。綴るように、生きること。

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シニタイの話

もうずっと、当たり前のようにシニタイは側にいる。
最初にいつ現れたのか、覚えてはいない。
3年前にはもういた気がする。
5年前にも、会っていた気がする。
10年前だったら。
もしかしたら、いなかったかもしれない。

シニタイはどこにでもいる。
駅のホームで、会社のトイレで、帰り道で、家の風呂場で。
たいてい、首のあたりに巻きついてくる。
シニタイはつるりとしていて、黒い。
ものは言わないけれど、良く動くし、形が変わる。
そして、わたしの肌より少し、熱い。
内臓みたいな熱さ。

あるいは涙、みたいな。

あは。


わたしはシニタイを抱きしめて眠る。
シニタイは柔らかく、熱く、闇夜より暗い。
最初は暑苦しいが、朝になればちょうどいい温もりになる。
夜の間、シニタイは慰めに似ている。


今日はいないな、と思う時がある。
そういう日は、肩が軽い。
視界が広く、まっすぐ前を見ている。
にんげんじゃないものが、ハイヒールをはいて歩いているような、気持ちになる。
今日はいないな、と思うと。

自分の存在すらも、疑わしくなる。

なんてね。


シニタイは、失われた夢に似ている。
意思の力にも似ている。
シニタイは滑らかで、舐めるとしょっぱい。
噛んでみれば、かすかに甘い味がする。

シニタイはそして、孤独にもとても近しい。

シニタイは、いつも側にいる。
いつからそこにいるのか、もうわからない。
肩が重い代わりに、隙間風が入らないんだと、
少しだけ笑ってもいいだろうか。




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プロフィール

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かるら
自己紹介:
秋山生糸/かるら。1985年生まれ。女性。ブログを通じていろいろな方々と交流していきたいと思っていますので、コメントなどぜひお気軽に残していってください。
2013年12月より短歌1日10首目指して更新中です。

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