短歌ドリル ―にょろにょろ―

1. その紅茶の経た曲折を知っていて揺らぐ両足境界に立て

2. 蹴りたいのは自分の背中 海風のまるい地球の極東にいて

3. のび太くんもセーラームーンもナナもハチも追いこして以下続刊 こわい

4. 次回くらい減らしましょうと言いながらせんせい一年経っていますよ

5. 人並みの心がほしい彫像に睫毛があって滴がひかる

6. ファシストと呼ぼう、あなたの中にある価値に疑問をもてないために

7. フィリピン産バナナの皮を捨てるときインスタントな旅の思いで

8. ひさかたの夢の帰り路 他愛ない守りのようにともにありたい

9. わたしにはわたしが重いときがあり叩いてほしい柳の枝で

10. たくさんの罪のないニョロニョロたちをニョロニョロにして旅をつづける

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10首。にょろり。

短歌ドリル ―パイナップル―

1. ねえ開けてよパイナップルを持ってるの地球もいずれ砂になるのよ

2. よその子の手を引いていく夜もすがら灯ひとつもないフクロウの街

3. 連れていかないでピアノの家へいくお墓の横は目を閉じていた

4. 勇かんに頭もたげたしゃくとりの彼にとってのキャベツが地球

5. 厳粛に朝日の充ちるリビングで皮のない桃を噛む、しにたい

6. もう夢を抜けた万博公園でサツキとメイの家は朽ちゆく

7. ペンギンは泳げる鳥でダチョウなら走れる鳥だ ぼくは飛べない

8. あめ玉をくちびるに押しつけること 夜毎に変わる色が好きですか
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8首。7首目はときどき歌会への提出歌。

短歌ドリル ―ハイキー―

1. 父親は狼でした山に咲く桔梗を食べて遠ぼえをする

2. この人は明日にも死ぬかもしれずアスタリスクをいけにえにする

3. 何万のミクロの鳥が指にいて触れあう指へ飛んでいきます

4. きみとぴたり同じピッチで奏でたい442ヘルツの恋

5. 抱かれてた時間ぶんだけ温もってハイキーになる世界を愛す

6. 「今朝の5時女の子を出産しまし」きみが始める新しい国

7. 向き合ってチキンタツタを食べ終わり堕転をゆるす五秒の無言

8. 空の上の青へ溶けてくビブラートついていこうと胸を震わす

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8首。ひさびさ。

短歌ドリル ―ハ行―

1. 女子トイレも給湯室もだいきらいなめらかな顔で話されること

2. いつも会う赤いイヤホンの子がついにスマホに変えた 時代の終わり

3, わたしではなくなりたいとおもってたわたしのわたくしせいのぶんがく

4. (私一人で食べるのですが良いですか)10個入ったドーナツを買う

5. こちらから返事なんかはしませんが月に一度は手紙ください

6. ひさびさの名前を示すけーたいの震える角にコチュジャンがとぶ

7. みがかれてあたためられてひらかれてわたくしを待つデパートのトイレ

8. 100球めをネットにあてて息をつくやっぱりあいつとは別れよう

9. 大切に呼んでくれなくたっていいどうせハ行で癒されるんでしょ

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9首。今日はたくさん！

短歌ドリル ―甘栗―

1. 「半熟ね」とかって君は欠伸してうさぎ色した日曜の朝

2. おまえはひとりになるひとりになるといわれて春の雨をみている

3. サンダルを投げつけて出たわたくしに元気かと言う　元気か、と言う

4. 噛み癖も上手にいなすあの人は本当のことを知っている樹だ

【題詠blog2014用メモ】
031:栗/
デパートの出口の甘栗やさんに弟子入りしますお正月まで

032:叩/
ぬいぐるみのおなかのへんのやわらかさ叩かれたことなんてないから

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4+2首。ぜいぜい。